お口のメインテナンスブログ
歯の表面に付着する汚れには、歯垢(しこう)と歯石(しせき)の2種類があります。
このうち、歯垢は比較的取り除きやすいのですが、歯石は一度形成されてしまうと、なかなか除去できません。
それだけに、歯石の付着はできるだけ予防する必要があります。ここではそんな歯石の付着を予防する歯磨き粉や口腔ケア方法について解説します。
歯石は、その名の通り石のように硬い物質です。お口の中に歯石が付着したことがある方は、何とかしてそれを取り除こうと頑張った経験があるかと思います。けれども歯石というのは、歯ブラシによるブラッシングでは取り除くことが困難です。なぜなら、歯石は歯垢が石灰化作用を受けた物質だからです。
もちろん、強い力でゴシゴシと長時間、歯石をブラッシングすれば、表面が摩耗したり、何かの拍子に外れたりすることもありますが、それでは歯まで傷めてしまいます。そういった点も踏まえて、歯石の除去はプロフェッショナルである歯科衛生士に任せるのが一番でしょう。
私たちの唾液には、リン酸やカルシウムといった歯を修復する成分が含まれています。いわゆる“歯の再石灰化”は、これらの物質によってなされます。ただ、石灰化作用は、都合よく歯質だけに生じるのではなく、歯の表面に付着した歯垢にまで及びます。歯垢はもともと石灰化していないので、歯のように再石灰化という表現は当てはまりません。しかし、歯質と同様、唾液によって、歯垢にも石のように硬くなる作用が起こっているものとお考えください。
実は、歯石は歯列全体にまんべんなく付着するのではなく、特定の部位に形成されやすくなっています。具体的には、下の前歯の内側と、上の奥歯の外側です。この2箇所は、すぐ近くに唾液腺が存在しており、常にたくさんの唾液が接するようになっています。その結果、歯垢が石灰化作用を受けやすくなっているのです。
歯石の付着を予防するためには、自宅でのセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアを両立させることが大切です。
○正しいブラッシング法を身に付け、実践する
歯石の付着を予防する上で、最も重要なのは歯ブラシによるブラッシングです。歯科医院でブラッシング指導を受けて、正しい歯磨きの方法を学び、毎日の口腔ケアで実践しましょう。1日に1回、プラークフリーな状態が作られれば、自然と歯石の形成も抑制されます。
○フッ素入り歯磨き粉を活用する
フッ素が配合された歯磨き粉を活用することで、歯質が強化され、歯垢が付着しにくい歯面を作ることができます。自ずと、歯石の形成も抑制されます。
○デンタルフロス、歯間ブラシを併用する
歯と歯の間の汚れは、デンタルフロスや歯間ブラシで取り除きましょう。歯間部もプラークフリーにすることで、歯石が形成されなくなります。
定期検診を目的に歯科を受診すると、以下の処置を受けることができます。
○クリーニング
○スケーリング(歯石取り)
○ブラッシング指導
○フッ素塗布(高濃度のフッ素ジェルを使用)
いずれもプロフェッショナルである歯科医師や歯科衛生士でなければ行えないものなので、定期的に受ける価値は非常に高いです。セルフケアで不足している部分を、プロフェッショナルケアでしっかり補っていきましょう。
歯石は歯磨き粉では落ちません。ですから、歯石になる前の歯垢の段階から歯磨き粉を用いて汚れを落とすことが重要です。市販の歯磨き粉には、配合されている成分によって、期待できる効果が異なります。そのため、目的に応じて適切なものを選ぶ必要があります。
虫歯予防を目的とするなら、フッ素が配合されているものを選びましょう。歯の再石灰化が促されるだけでなく、虫歯菌の活動を抑えることもできます。
歯周病に関しては、予防というよりも症状を改善する成分が含まれていることが多いです。具体的には、歯茎からの出血を抑えるトラネキサム酸、炎症作用を抑制するグリチルリチン酸などです。ポリリン酸やピロリン酸は、歯石の形成・付着を抑制できます。その他、殺菌作用のある成分は口臭予防に寄与します。
歯を白くするホワイトニングの効果は、基本的にポリリン酸やピロリン酸が担っています。これらは漂白効果ではなく、あくまで歯垢・歯石を除去、もしくはそれらの形成を抑制することで、歯の本来の白さを取り戻していきます。
このように、歯石の付着を安全かつ効率的に予防するのであれば、正しいセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアが不可欠です。当院は、厚生労働省から、より専門的に予防のためのメインテナンスを行う「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」に認定されておりますので、プロフェッショナルケアはもちろん、ご自宅でのセルフケアのアドバイスも行えます。加えて、おすすめの歯磨き粉もご紹介できますので、まずはお気軽にご連絡ください。
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