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お口のメインテナンス/ブログ/一般歯科

痛みのない虫歯でも治療は必要?放置するとどうなる?

メインテナンスなどでお口の中をチェックされた際、痛みがないのに虫歯と診断されると不安になりますよね。痛くないのに歯を削られるのは納得がいかない、という方もいらっしゃることでしょう。けれども実際は、「虫歯=歯痛」ではなく、痛みのない虫歯もたくさんあります。そこで今回は、虫歯で痛みが生じるメカニズムや痛みのない虫歯の特徴、それを放置する危険性などを詳しく解説します。

なぜ虫歯で歯が痛くなるのか

私たちが「痛み」を感じるのは、神経が存在しているからですよね。皮膚のすぐ下には末梢神経が分布していて、つねると痛みを感じます。歯痛もそれと同じメカニズムで生じる感覚なのですが、神経が存在している部位に注意しなければなりません。

エナメル質には神経がない

歯の表面を覆っているエナメル質に神経は分布していません。つまり、エナメル質内にとどまっている虫歯は、そもそも痛みを感じることができないのです。専門的には「C1(エナメル質の虫歯)」と呼ばれる段階で、歯を削る際にも麻酔は不要となっています。

象牙質には神経がある

虫歯が次の段階である「C2(象牙質の虫歯)」に進むと、いよいよ痛みを感じるようになります。なぜなら、象牙質には歯の神経が一部入り込んでいるからです。そうした歯の構造を正確に把握すると、痛みのない虫歯が存在する理由も理解できるかと思います。実際、当院でも痛みのない虫歯を治療する機会は多いですし、決して珍しいものではないのです。ちなみに、痛みのない虫歯は、発生して間もないものだけではありません。他にもいくつかのケースが考えられますので、次の項で具体的にご説明します。

虫歯の進行度

CO:初期の虫歯

C1:エナメル質の虫歯

C2:象牙質の虫歯

C3:歯の神経まで達した虫歯

C4:歯の神経が死んだ虫歯

 

 

虫歯なのに歯が痛まないケース

虫歯なのに歯が痛くならないケースとしては、次の3つが挙げられます。

初期段階の虫歯

初期の虫歯というのは、専門的に「CO(シーオー)」と呼ばれるもので、日本語では要観察歯と訳されます。歯の表面に白いシミが生じるのが特徴であり、上述した「C1(エナメル質の虫歯)」のひとつ前の段階になります。歯面に穴は開いておらず、当然ですが痛みも感じません。初期の虫歯は削らずに治せることも多いので、歯面に白いシミが認められたら歯医者さんに相談しましょう。

神経が死んでしまった歯

虫歯が進行してC4にまで到達すると、歯の神経が死んでしまいます。それまで激痛が生じていたのが嘘のように、痛みも消えてなくなります。そうした虫歯の末期状態でも「虫歯なのに歯が痛まない」という現象が起こり得ます。痛みが消えたことで自然治癒したと誤解される方も少なくありませんが、病変は依然として残っています。

神経を失ってしまった歯の二次虫歯

虫歯や歯科治療で歯の神経を失った場合は、それ以降、虫歯が再発しても痛みを感じることはありません。痛みを感じ取る神経そのものがないので、歯痛が生じないのも当然ですね。具体的には、銀歯などの被せ物の下で虫歯が再発して、痛みのないまま進行していくケースが非常に多くなっています。

痛くない虫歯を放置する危険性

虫歯による最大のデメリットを「歯痛」と考えている方は、痛くない虫歯を放置することに何ら抵抗を感じないかもしれませんが、それはとても危険なことなので推奨できません。

歯を失ってしまう

虫歯は進行性の病気であり、自然に治ることはありません。放置すればするほど病態が悪化し、最終的には歯そのものを失うことになります。ですから、痛みがないからといって治療を先延ばしにすることも良くないのです。治療を受けるのが1週間、1か月と延びていく中で、失う歯質の量もどんどん増えていきます。

全身に菌がまわってしまう

虫歯の怖いところは、その影響が患歯だけにとどまらない点です。虫歯そのものの末期症状は、歯を失うことですが、細菌はその周囲の組織へと感染を広げ、顎骨骨髄炎(がっこつこつずいえん)や上顎洞炎(じょうがくどうえん)といった、より深刻な炎症性疾患を誘発することもあり得ます。さらに重症化すると細菌が血流に乗って全身を巡るようになるため、敗血症などを誘発するリスクもゼロではないのです。

虫歯は細菌感染症の一種

虫歯は単に歯を溶かすだけの病気ではありません。細菌感染症の一種であり、放置して重症化させると、他の組織や臓器にまで炎症反応などを引き起こすことがあるため十分な注意が必要です。その点もしっかり理解した上で虫歯という病気に対処することが大切です。

まとめ

今回は、痛みのない虫歯について解説しました。一言で虫歯と言っても、進行度によって症状も大きく異なります。上述したようにエナメル質には神経が分布しておらず、比較的軽度の虫歯で痛みが生じることは稀といえます。逆に、C4のような重症化した虫歯では歯の神経が死んでいるので痛みを感じることができなくなっています。ですから、痛みがないからといって油断はせず、虫歯が疑われる症状が認められた場合はできるだけ早く歯科医院を受診するようにしましょう。虫歯は発見が早ければ早いほど、失う歯質の量も少なくできます。

 

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