インプラントブログ
インプラントは、失った歯を「歯根」から回復できる先進的な歯科治療です。
従来のブリッジや入れ歯にはない外科手術を伴うため、不安に感じている方も多いようです。
今回はそんなインプラント手術の1回法と2回法について詳しく解説します。
インプラント治療では、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込む外科手術が必須となっています。
この手術は実施する回数によって「1回法」と「2回法」の2つに分けられます。
○1回法の特徴
インプラント手術の1回法とは、歯ぐきを切開して人工歯根などの器具を埋め込む手術が1回で済む施術法です。
具体的には、人工歯根の埋入とアバットメント(連結装置)の装着を1回の手術で行うことが可能となっています。
そのため、人工歯根とアバットメントが一体化した「ワンピースタイプ」を選択することも可能となっています。
もちろん、標準的な「ツーピースタイプ」を使うこともできます。ここではツーピースタイプのインプラントを想定した1回法について解説します。
○1回法の手術の流れ
・STEP1 歯ぐきの切開とドリルによる穴あけ
局所麻酔を施したのち、歯ぐきを一定の範囲まで切開して視野を確保します。
続いて専用のドリルを使って、インプラント体を埋め込むための穴を顎の骨にあけます。
・STEP2 インプラント体の埋入
インプラント体を顎の骨に正確に埋め込みます。
・STEP3 アバットメントの装着
インプラント体の頭の部分に連結装置であるアバットメントを装着します。
つまり、1回法ではアバットメント自体がお口の中に露出した状態で手術が完了するため、数か月後に2回目の手術をする必要がありません。
・STEP4 治癒期間(6週~12週)
手術が終わったら、インプラント体と顎の骨が結合するのを待ちます。
一般的に骨と結合するまでの期間じゃ、インプラント体を埋め込む位置や骨の状態、お口の状態などによって大きく変わりますが、
当院で使用しているインプラントを用いて、経験豊富なインプラント外科医が手術を行うことで概ね2か月前後が標準的な待期期間となります。
・STEP5 上部構造の製作・装着
インプラント体と顎の骨がしっかり結合したのち人工歯にあたる上部構造を製作し、かみ合わせなどを調整した上で装着します。
通常はまず仮歯を入れていただき、問題のないことを確認してセラミックなどの最終的な材料へ置き換えていきます。
○2回法の特徴
インプラントの2回法は、手術を2回に分けて行う施術法です。1回目の手術でインプラント体を埋め込み、2回目の手術でアバットメントを装着します。
○2回法の手術の流れ
・STEP1 歯ぐきの切開とドリルによる穴あけ
局所麻酔を施したのち、歯ぐきを一定の範囲まで切開して視野を確保します。
続いて、専用のドリルを使って、インプラント体を埋め込むための穴を顎の骨にあけます。
・STEP2 インプラント体の埋入・傷口の縫合
インプラント体を顎の骨に埋め込みます。
傷口を糸で縫合して1回目の手術は終了です。傷口を閉じるため、インプラント体が口腔内に露出することはありません。
・STEP3 治癒期間(3~4か月程度)
手術が終わったら、インプラント体と顎の骨が結合するのを待ちます。
治癒にかかる期間は、インプラント体を埋め込んだ位置やお口の状態によって大きく変わります。
・STEP4 歯ぐきの切開・アバットメントの装着
インプラント体と骨との結合を確認したら、再び歯ぐきを切開して、連結装置であるアバットメントを装着します。
その後は、歯ぐきの状態が落ち着くまでしばらくの期間、安静に過ごします。
・STEP5 上部構造の製作・装着
インプラント体と顎の骨がしっかり結合したら、人工歯にあたる上部構造を製作し、かみ合わせなどを調整した上で装着します。
インプラント手術の1回法には、以下に挙げるようなメリット・デメリットを伴います。
・手術が1回で済むので心身への負担が少ない
・通院回数が少なく、治療期間も短縮できる
・2回法よりも治療費が安くなる
・顎の骨の状態が良くなければ適応できない
・骨移植などを伴う手術では、感染のリスクが上昇する
インプラント手術の2回法には、以下に挙げるようなメリット・デメリットを伴います。
・適応条件が1回法ほどシビアではない
・インプラント体を埋入した直後に縫合するため、感染リスクは比較的低い
・インプラント体と顎骨がしっかり結合するまで待つことができる
・手術が2回に分けられるため、心身にかかる負担が大きくなる
・治療にかかる費用は1回法よりも高い
・1回法と比較すると治療回数が多く、治療期間も長くなる
このように、インプラント手術は1回法と2回法に分けられ、それぞれに異なるメリット・デメリットがあります。
一見すると1回法が優れているように見えても、適応範囲が狭かったり、ケースによっては感染のリスクが上昇したりするなどのデメリットも存在している点に注意しましょう。
臨床研究によると、きちんとした診断を行い1回法と2回法を使い分けることでその成功率には大きな差が生じることはないため、
個々のケースで適切といえる術式を選ぶことが重要と言えます。
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