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ブログ/口腔外科

【見た目がそっくり?】口内炎と口腔がんの違いとは

誰でも一度はなったことのある口内炎は、そのほとんどが軽度なものであり、痛みや炎症があっても数日から数週間で自然に治ります。
この口内炎と見た目が似ている口腔がんは、時に口内炎と間違われることもあるため、放置してしまうことで非常に危険な状態につながることもあるのです。
そこで本記事では、見た目が似ている口内炎と口腔がんの違いについて、詳しく解説していきます。

 

■口腔がんとは

口腔がんは、悪性腫瘍とも呼ばれているがんが、お口の中に生じる疾患です。主に、唇や舌、頬粘膜や口蓋(上顎)など、軟組織に発生しますが、最も多く見られるのは歯ぐきに生じる「歯肉がん」です。比較的変化の少ない良性の腫瘍と比べ、転移や組織の変色、急速な発育速度などの症状が見られます。
口腔がんは発生率が低く、人口6万人あたり6症例以下の「希少がん」と呼ばれる非常に稀な疾患です。しかし、いくら稀な疾患であるとはいえ、絶対に罹患しないというわけではありません。
口腔がんは組織の膨張が見られますが、一般的に初期段階では痛みなどの自覚症状がないケースがほとんどで、進行すると痛みや出血などがみられることもあります。
また、口腔がんの場合、以下の前がん病変と呼ばれる、放置するとがんに移行しやすい症状が、粘膜へあらわれることも少なくありません。

 
●白板症(はくばんしょう)
歯ぐきや舌などに生じる、白い病変を白板症と言います。擦っても除去できず、中高年の男性に好発しやすいのが特徴です。痛みはありませんが、白板症の症状がある場合、口腔がんになるリスクがあるため、良性であったとしても継続的な経過観察が必要になります。

●紅板症(こうばんしょう)
鮮やかな紅色をしたビロード状の病変があらわれる紅板症は、舌や頬粘膜、口蓋に好発します。紅板症も前がん病変の一つであり、この疾患の約50%はがん化するとも言われています。この病変が見られる場合には白板症と同じように検査を行い、良性である場合も継続的な経過観察が求められます。

 

■口腔がんと口内炎のちがい

口内炎と口腔がんはそれぞれ異なる疾患であり、症状や治療法も異なります。よって、症状が持続する場合や疑いがある場合には、早めに歯科医院へ相談することが重要です。

●口内炎
口内炎は、口腔内の粘膜に発生する炎症や潰瘍の総称で、アフタ性口内炎とよばれる潰瘍性のものが多くを占めています。口内炎は一般的に、比較的軽度な疾患であり、歯磨きの際や食事中に生じた粘膜への小さな損傷や、刺激が原因となって発症します。また、ストレスや免疫力の低下、ホルモンバランスの乱れ、栄養不足なども口内炎の原因です。
口内炎の多くは、粘膜に赤い斑点や潰瘍があらわれ、痛みや違和感を引き起こします。通常は約1週間程度で自然に治癒しますが、見た目が似ているため、口腔がんと混同されることがあります。

○定義
口腔粘膜にできる炎症や潰瘍

○重症度
一般的に軽度で、自然に治癒する

○原因
感染、損傷、ストレス、栄養不良など

○症状
痛み、腫れ、潰瘍、水ぶくれなど

○治療
通常は自然治癒するが、症状緩和のために塗り薬や痛み止めなどの使用も

 
●口腔がん
口腔がんは口の中の組織で発生する悪性腫瘍であり、非常なハイリスクで重篤な疾患です。慢性的かつ長期的な喫煙やアルコール摂取、粘膜への慢性的な刺激などが、口腔がんのリスク要因として知られています。
基本的に痛みはありませんが、口の中や舌、唇などに生じたしこりや潰瘍が長期間治癒しない、次第に大きくなる、出血などの症状があらわれることもあります。
口腔がんは、通常のがんと同様進行が早く、転移も起こり得るため、早期発見と適切な治療が重要です。

○定義
口の中の組織で発生する悪性腫瘍

○重症度
重篤で、治療が遅れると命にかかわることがある

○原因
主にタバコやアルコールの長期間の摂取、慢性的な刺激など

○症状
腫れやしこり、組織の肥大化、出血、飲み込みにくさなど

○治療
手術、放射線療法、化学療法などを組み合わせた治療

 

■口腔がんと口内炎の見分け方

口腔がんは口内炎と誤診されやすく、そのまま放置して腫瘍が大きくなってしまうケースも少なくありません。しかし、口腔がんと口内炎には、以下のようにいくつかの違いがあります。

●痛みの有無
口腔がんは、進行している場合を除き痛みを感じるケースは比較的少ないとされています。しかし、口内炎の場合は口腔がんと異なり、痛みが出ることが多い傾向にあります。よって、食事の際に触れたりすると痛みが出る場合には、口内炎であるケースの方が多いと言えるでしょう。

●治癒期間
口腔がんは、一般的に自然に治ることはありません。むしろ、潰瘍やできものが治らず、次第に大きくなっていくことが特徴です。
一方、口内炎は、大きさや与えられる刺激にもよりますが、およそ1〜2週間で自然に治癒します。ただ、口内炎の位置などによっては、どうしても治りにくいこともありますので、その場合は一度歯科医院を受診することをおすすめいたします。歯科医院では、薬の処方や、レーザーによる処置なども行っておりますので、なかなか治らない、痛みが強く日常生活に支障をきたしている、などのお悩みがある場合には、口内炎だとしても我慢せず治療を受けましょう。

●粘膜の病変
口腔がんでは本記事の冒頭にもお話しした、前がん病変である「白板症」や「紅板症」が併発していることが多々あります。そのため、口内炎と思われる疾患のほか、粘膜に白や紅色の病変があらわれている場合には、口腔がんの可能性が高いと言えるでしょう。
口内炎の場合、このような粘膜への病変は基本的には生じないため、これも口腔がんとの違いの一つになります。

 

■まとめ

口腔がんは、早期の治療が求められる重篤な疾患です。しかし、初期症状の段階でしっかりと治療を行うことで、比較的簡易的な方法での治療が可能であり、後遺症もほとんど残りません。
口内炎のようなものやしこりがなかなか治らず、口腔がんの可能性がある場合には、まず歯科医院で口腔内を診てもらうことをおすすめいたします。何事もなければ一安心であり、何かあれば歯科医院から大学病院などの医療機関につなぐことができるため、早期発見、早期治療につながります。

・口内炎のようなものがなかなか治らない
・口腔粘膜に擦っても落ちない白い斑点や部分的に赤い箇所がある
・できものやしこりが大きくなっている気がする
・できものができてから以前より食事や会話がしにくくなった

これらのお悩みがある場合には、なるべく早めに歯科医院を受診しましょう。

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